都条例の中身を少し

どういう規制をするのか、ネット上で言われていること、報道で言われていること、実際とで違うように感じたので確認をします。


あくまでも私のための確認作業になりますので、正確性の保証はありません。
原本たる都条例の文言をもとにはしていますが、見落としもあるでしょうし、本来の解釈の仕方と違うかもしれません。
もしも、私もメモを参考に考える方がいらっしゃいましたら、そのあたりご了承願います。


まずは、朝日新聞の記事より抜粋。

同条例は性行為を描写した漫画やアニメについて、場合によっては18歳未満への販売を自主規制することを出版社に求め、「不健全図書」に指定したものは都自身が販売を規制できる、と定めている。
http://mainichi.jp/enta/art/news/20101202dde018010006000c.html
2010年12月2日 東京夕刊

改正案は、強姦(ごうかん)など刑罰法規に触れるか、近親者同士の性行為を「不当に賛美・誇張」して描いた漫画やアニメを18歳未満の青少年に販売、閲覧させないよう業界に自主規制を求める。悪質と判断される漫画などに対しては青少年への販売を禁止する「不健全図書」に指定する。
http://mainichi.jp/select/wadai/news/20101215k0000e040071000c.html
2010年12月15日


つぎに、都条例の文言を抜粋。

第3章 不健全な図書類等の販売等の規制
(図書類等の販売等及び興行の自主規制)
(前略)当該図書類又は映画等を青少年に販売し、頒布し、若しくは貸し付け、又は観覧させないように努めなければならない。

「不健全な図書類等」に関しては、販売・配布・貸付・閲覧をさせない努力を求めるにとどめているわけです。

(指定図書類の販売等の制限)
第9条

  1. (前略)前条第1項第1号の規定により知事が指定した図書類(以下「指定図書類」という。)を青少年に販売し、頒布し、又は貸し付けてはならない。


(表示図書類の販売等の制限)
第9条の2

  1. (前略)第8条第1項第1号の東京都規則で定める基準に照らし、青少年に対し、性的感情を刺激し、残虐性を助長し、又は自殺若しくは犯罪を誘発し、青少年の健全な成長を阻害するおそれがあると認める内容の図書類に、青少年が閲覧し、又は観覧することが適当でない旨の表示をするように努めなければならない。
  2. 図書類販売業者等は、前項に定める表示をした図書類(指定図書類を除く。以下「表示図書類」という。)青少年に販売し、頒布し、又は貸し付けないように努めなければならない。


上記2つに共通して、以下3つが続く。

  • 図書類発行業者は、表示図書類について、青少年が閲覧できないように東京都規則で定める方法により包装するように努めなければならない。
  • 図書類販売業者等は、表示図書類を陳列するとき(自動販売機等により図書類を販売し、又は貸し付ける場合を除く。)は、東京都規則で定めるところにより当該表示図書類を他の図書類と明確に区分し、営業の場所の容易に監視することのできる場所に置くように努めなければならない。
  • 何人も、青少年に表示図書類を閲覧させ、又は観覧させないように努めなければならない。

つまり、

  • 「第8条第1項第1号の東京都規則で定める基準」により知事が指定したものを「指定図書類」
  • 同基準により図書類販売業者等がその旨を表示した図書類(指定図書以外)を「表示図書類」

と定義している。どちらも同じ基準に照らして決められる。

  • 「指定図書類」になれば青少年への販売などが禁止される。
  • 「表示図書類」であれば青少年への販売などをしないように務めなければならない。

少し緩い規制になっているようです。

(表示図書類に関する勧告)
第9条の3
2 知事は、表示図書類について、前条第2項から第4項までの規定が遵守されていないと認めるときは、図書類販売業者等又は図書類発行業者に対し、必要な措置をとるべきことを勧告することができる。

しかし、「表示図書類」となった場合も規定を遵守する必要が生じるようです。

自動販売機等への指定図書類等の収納禁止等)
第13条の4 自動販売機等業者は、指定図書類又は指定がん具類(特定がん具類であるものに限る。)を自動販売機等に収納してはならない。
自動販売機等業者及び自動販売機等管理者は、当該自動販売機等業者の設置する自動販売機等に収納されている図書類又は特定がん具類が指定図書類又は指定がん具類となつたときは、直ちに当該指定図書類又は指定がん具類を撤去しなければならない。

自動販売機等への「指定図書類」の収納は禁止されます。

「指定図書類等の包装の方法」や「指定図書類等の区分陳列の方法」などが規定されています。


都に不健全図書に指定される(指定図書になる)と、都に販売規制(禁止)される。
そうでなくても、青少年に不健全だとされる図書類については「表示図書」として自主規制が求められる。
これらはすべて青少年に対しての販売・陳列などについての規制・禁止です。
つまり、店頭に並べてはならないわけでもなく、ましてや出版してはならないわけでもないようです。実際では、「指定方法での包装」や「指定の陳列方法」の実施ができず、販売できなくなる店舗があるのでしょう。ただ、条例の規制方法自体はまっとうなのではないかと感じます。
規制基準については疑問が残りますが。